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お客様は何を求めている?企業が印刷物をつくる前に整理したい5つのこと

|インサイドセールス

「今、お客様は何を求めているのだろう?」

新商品の発売や採用活動、価格改定、販売促進など、企業がさまざまな取り組みを進めるうえで、お客様のニーズを知ることは欠かせません。

しかし、お客様が求めるものは一つではありません。年代や地域、業種、取引の場面によって、知りたい情報や重視するポイントは異なります。

自社が伝えたいことだけを発信していても、相手が本当に知りたい情報が届いていなければ、商品やサービスの魅力は十分に伝わらないかもしれません。

だからこそ、印刷物をつくる前に、「誰に、何を、どのように伝えるのか」を整理することが大切です。

今回は、お客様の視点を取り入れながら、伝わる印刷物をつくるために考えておきたい5つのポイントをご紹介します。

1  「誰に伝えるか」で、印刷物の内容は変わる

「最近は動画が人気らしい」「若い人は紙を見ないらしい」といった大きな傾向は、企画のきっかけにはなります。しかし、それだけで媒体や内容を決めてしまうと、本当に伝えたい相手に合わないものになる可能性があります。

たとえば同じ会社案内でも、金融機関へ渡すのか、新規取引先へ渡すのか、採用説明会で学生へ渡すのかで、必要な情報は変わります。金融機関なら事業の安定性や将来性、新規取引先なら対応範囲や品質管理、学生なら仕事内容や職場の雰囲気が判断材料になりやすいでしょう。

まず考えたいのは、次の3点です。

  • 誰に渡すのか
  • どんな場面で見るのか
  • 見た後に、どんな行動をしてほしいのか

「地域の人へ会社を知ってほしい」ではまだ広すぎます。「○○市周辺で取引先を探す製造業の担当者に、初回相談の前に対応範囲を理解してもらう」まで具体化すると、載せる内容と見せ方が決めやすくなります。

2 今、相手が求めているのは「安心して判断できる情報」

今は、ホームページやSNS、口コミ、パンフレットなど、さまざまな媒体から情報を得られる時代です。

だからこそ、企業が情報を発信するときには、ただ多くの情報を届けるのではなく、相手が「自分に合っているか」「信頼できる会社か」を判断しやすい内容にすることが大切です。

では、企業はどのような強みを伝えればよいのでしょうか。

中小企業庁が公表した「2026年版小規模企業白書」では、小規模事業者が重視している自社の強みについて、顧客の特徴による違いが紹介されています。

例えば、リピート客が多い事業者の59.7%が「技術・品質の優位性」を重視していました。

一方、新規客が多い事業者では、38.2%が「希少性・限定性」を重視しており、リピート客が多い事業者よりも高い割合となっています。

このように、企業が重視する強みには、顧客の特徴によって違いが見られます。

新しいお客様に自社を知ってもらいたい場合は、他社にはない特徴や魅力を伝えることが考えられます。一方、既存のお客様との関係を深めたい場合は、品質へのこだわりや丁寧な対応など、継続して選んでもらう理由を伝えることも大切です。

印刷物やホームページを制作するときも、「誰に、どのような魅力を伝えたいのか」を整理することで、より目的に合った情報発信につながります。

出典:中小企業庁『2026年版小規模企業白書』第2部 第1章 第2-1-62図「小規模事業者における、重視している差別化要素(顧客属性別)」

3 印刷物をつくる前に整理したい5つのこと

1 最近増えた相談や質問

電話、メール、店頭、商談で、繰り返し聞かれる質問を書き出します。質問は「お客様が判断できずにいる場所」です。「納期はどのくらいですか」「どこまで対応してもらえますか」と聞かれるなら、その答えを印刷物の目立つ位置に置く価値があります。

2 選ばれなかった理由

成約した理由だけでなく、見送られた理由にもニーズがあります。価格、時期、社内説明のしにくさ、違いの分かりにくさなど、理由はさまざまです。問い合わせ後に止まった案件を見直すと、説明不足の箇所が見えてきます。

3 今の顧客が評価していること

会社側が強みだと思う点と、お客様が評価する点は必ずしも一致しません。「技術力」を評価されていると思っていたら、実際には「相談への返事が早い」「細かい変更に対応してくれる」が継続理由だった、ということもあります。納品時や定期訪問で「当社を選び続けている理由は何ですか」と一言聞くだけでも、発信に使える言葉が集まります。

4 顧客が次に起こしたい行動

印刷物の目的を「会社を知ってもらう」で止めず、「相談を予約する」「見積もりを依頼する」など、次の行動まで決めます。行動が一つに定まれば、二次元コードの行き先や連絡先の見せ方も整理できます。

5 何をもって反応とするか

配布前に、見る数字を決めます。問い合わせ件数だけでなく、二次元コードからの訪問、資料請求、営業先で出た質問、既存顧客からの反応も手がかりになります。少部数で試し、反応を見て改訂する方法も有効です。

4 会社案内の主語を「自社」から「顧客」へ変える

ここで、架空の例を考えてみます。

地域の設備会社が、会社案内の冒頭に「創業30年」「高い技術力」「幅広い対応」を並べていたとします。どれも大切な事実ですが、同じような表現を使う企業も多く、初めて見る人には違いが伝わりにくい状態です。

そこで、お客様から寄せられた相談を振り返ってみると、「設備が故障したとき、すぐに対応してもらえるのか不安」「定期的な点検やメンテナンスもお願いしたい」といった声が多いことに気づきました。

そこで会社案内の冒頭を、「創業30年」という会社の紹介から、「急な設備トラブルから日々のメンテナンスまで、安心して相談できる設備会社です」という、お客様の不安に応えるメッセージに変更します。

その後に、対応できる業務やトラブル発生時の対応の流れ、これまでの実績などを紹介します。

会社の事業内容や強みは変わっていません。変えたのは、伝える内容の順番と見せ方です。

自社が伝えたいことを並べるだけでなく、お客様が知りたいことから伝えることで、より分かりやすく、安心して相談できる会社案内になります。

5 最初の相談で用意したい「1枚メモ」

相談する前に、次の項目をまとめておくと、企画が進みやすくなります。

  • 誰に渡すか
  • いつ、どこで渡すか
  • 相手が困っていること、迷っていること
  • 印刷物を見た後に取ってほしい行動
  • 最近よく聞かれる質問
  • 使えそうな写真、実績、既存資料
  • 希望する時期、部数、おおよその予算
  • 配布後に確認したい反応

すべて決まっていなくても構いません。決まっていない点を一緒に整理することも、制作の一部です。

6 よくある質問

Q 原稿が完成していなくても相談できますか?

A 目的、対象、時期、手元にある材料が分かれば、構成を考えるところから相談できます。むしろ原稿を作り込む前に方向性を合わせると、不要な手戻りを減らしやすくなります。

Q 紙よりWebやSNSを優先した方がよいですか?

A 媒体は、相手が情報に触れる場面で決めます。商談やイベントで手渡すなら紙が役立ち、詳しい情報の更新や問い合わせにはWebが向いています。紙の二次元コードからWebへ案内し、SNSで継続的に接点を持つなど、役割を分けてつなぐ方法もあります。

まとめ

お客様のニーズを知るためには、まず「誰に、何を伝えたいのか」を明確にすることが大切です。そして、お客様が抱えている悩みや疑問、自社が選ばれている理由に目を向けることで、本当に必要とされている情報が見えてきます。

印刷物づくりでは、そうしたお客様の声をもとに、伝える内容や順番、見せ方を考えることが重要です。自社が伝えたいことだけでなく、お客様が知りたいことを意識することで、より分かりやすく、伝わる印刷物につながります。

チラシや会社案内、営業資料、採用パンフレットなどをつくる際には、まず「誰に届けたいのか」「何を伝えたいのか」を整理することから始めてみてください。